GR86のエンジンブローの報告は発売当初から相次いでいる。原因はストレーナーの詰まりと言われることが多いが、果たして本当なのだろうか。
原因:ガスケットの破片によるストレーナーの詰まり?
多くのブログや動画で、ストレーナーの状態を公開し、ガスケットの破片が付着している様子を紹介してきた。
一方、エンジンブローがガスケットの付着によるストレーナーの詰まりと本当に関係しているか、疑問視する意見もあった。ガスケットはストレーナーの給油部分の一部を塞ぐのみであり、オイルの吸い込みに支障が出るようには見えないケースが多い。
上に私のGR86でストレーナーの状態を確認した際の画像を示す。灰色のガスケットが詰まっていはいるものの、完全に詰まっているわけではない。
この状態のまま、袖ケ浦で全開走行を2度実施した際も、油圧の低下は起きなかった。
ある程度ストレーナーが詰まっていようが、それが直接のブローの原因にはならないようだ。では、何が真の原因なのだろうか?
ショップで聞いてみた:S県I市にて
ストレーナーの詰まりが問題の本質ではない可能性が高いと常々思っていたものの、真の原因は良くわからないまま月日が経った。
そんな中、たまたま水平対向エンジンに詳しいS県I市のショップにお世話になる機会があり、この問題について伺ってみた。
あくまで個人の見解であるとは断っていたものの、以下の回答を得た。
- ストレーナーの詰まりが影響する可能性はあるが、おそらく小さい
- そもそも、エンジンブローの問題は前型のZN&ZD6型でも起こっており、新しい現象ではない
- 前型の知見を合わせると、エンジンブローはハードブレーキング後のコーナリングからの立ち上がりで起こるケースが多く、オイル戻りの遅れでエンジンオイルの空吸い状態になるため起こっていたと考える。つまり、オイルパンの設計上の問題に思える
- 実際、過度に硬いオイル(30W-45)を使っていた人がサーキットの第一コーナーでブローしている事例も確認したことがある。硬いオイルのほうがオイルが傾いた際に戻りが遅くなる。純正のエンジンオイルや、推奨されているGRエンジンオイルが0W-20とかなりサラサラなのも、おそらくメーカーが問題を当初から認識していたからとも考えられる
- GR86のエンジンブローの対策として、オイルパンバッフルプレートを装着する車が多く、装着した場合のエンジンブローの報告が聞かれないことも、同様にオイルの空吸いが原因であることを示している。何より86/BRZカップの指定部品にオイルパンバッフルプレートがあるのは、そういうことである
以上、要約すると、「ストレーナーの詰まりはあまり関係なく、サーキット行くならエンジンオイルが偏らないようにバッフルプレート取り付けたほうが良い」ということらしい。
個人的には非常に納得感のある回答だった。サーキット走行を勧めるような売り出し方なのにコーナリングで壊れるような設計はいかがなものかとも思うが、対策でなんとかなるなら問題が起こる前に対策すれば良いとも言える。
オイルパンバッフルプレートのおすすめはなにかと聞いてみたところ、なるべくオイルパンにオイルがとどまるような構造のものが良いとのこと。私はTOMEIのものを付けていたので、それはどうかと聞くと、悪くない選択肢だとのことだった。
上にTOMEIのバッフルプレートの画像を示す。これは二重構造になっており、底に溜まったオイルをオイルパンの中に留めることで、油圧の低下を防ぐ。このタイプが比較的勧められるとのことだ。ショップとしては他のメーカーのものが構造的により有利と考えており、そちらを勧めているらしい(確かSYMS?)
最後に:なにか不安なことがあれば詳しい人に聞くのが一番
というわけで、不安で仕方なかったGR86のエンジンブロー問題についてある程度納得のいく答えを得ることが出来、一安心できた。
ブログや動画で様々な人が情報発信しているが、その大半は特別詳しい人が語っているものではない。いわば素人意見になる。大事なこと、重要なことほどしっかりお金を払って、その道のプロに聞いたほうが良いし、自分の勉強にもなると思った。
ついでに、ショップのデモカーのGR86に乗せてもらったら脚の違いに驚いた。吸い付く脚とはこのことか!
というわけで、来年の頭に車検が終わったら、車高調の取り付けをお願いしようと思う。貯金。。
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