ウェハーの研削と研磨とは?半導体前工程の基板品質を支える技術

半導体

ウェハー研削・研磨の重要性

本記事では、半導体前工程の基板の研削と研磨について、現役の半導体エンジニアが解説します。半導体プロセスは、基本的に基板の表面を加工していくため、表面の品質が半導体チップとしての品質と歩留まりを査収します。

以前の記事で、半導体の結晶の製造方法や基板化の工程について詳しく解説しているので、ぜひそちらも御覧ください!

この記事を読むべき人

  • 半導体製造に興味のある方
  • 半導体前工程を学びたい方
  • ウェハーの研削・研磨技術を知りたい方

ウェハー研削と研磨のプロセスを徹底解説

基板の研削とは?:厚さ均一化と加工変質層の除去技術

基板は均一な厚さに整えるため研削工程に進みます。研削は基板間の厚さのばらつきを抑え、面内均一性を高め、マルチワイヤーソーによる加工ダメージ(加工変質層)を除去します。
研削は砥石を歯列状に配置したホイールを回転させ、基板に押し付けて行います。ただし、研削後は目視可能な研削痕が残り、面内厚さの均一性は完全ではありません。

研削機の概略。基板は真空チャックでステージに固定し、ステージごと回転させる。

ラッピングとは?:基板表面の平滑にする方法

ラッピングは研削後の表面粗さを均一にする工程です。場合によっては研削をスキップして直接ラッピングを行うこともあります。
ラッピングは片面または両面研磨機を使用します。片面研磨機は枚葉型とバッチ式があり、両面研磨機はバッチ式が主流です。

  • 枚葉式:高い研磨速度が特徴だが、基板が反りやすい。
  • 両面研磨機:3面擦り合わせの原理で高い平坦性を実現。ただし、基板破損時にバッチ全体がNGになるリスクが有る。

生産技術系のエンジニアの好みで言えば、両面研磨機の使いこなしが非常に面白いです。各ギアの回転を調整したり、パッドの使いこなしで、基板の仕上がりを変化させることができます。エンジニアの腕が品質やスループット、バッチあたりの処理能力に直接影響を与えるため、魅力的な装置です(ただし、片面研磨のほうが装置メーカーの努力で安定して研磨ができるため、人を選ばないというメリットがあります)。

枚葉式の研磨機の概略。シンプルで研磨レートを稼げる。
バッチ式の片面研磨
両面研磨機の概略。各ギアの速度を変えることで、研磨レートや仕上がりを調整できる自由度も魅力

研磨とは?:鏡面仕上げと高精度加工で品質向上

研磨は基板の面内厚さを均等にし、鏡面仕上げを行う工程です。ラッピングとほぼ同じ装置を使用し、パッドの種類や砥粒の粒径が異なります。研磨では小さな砥粒を用い、高精度な仕上げを実現します。

まとめ:研削と研磨が基板品質に与える影響

研削と研磨は、半導体前工程における基板の平坦性と表面品質を担保する重要なプロセスです。ラッピングや研磨方式にはそれぞれメリット・デメリットがあり、処理数量や品質要件に応じて選択されます。パッドやスラリー、加工条件の最適化はエンジニアの腕の見せ所であり、やりがいのある工程です。

次回の記事

次回の記事では、ウェハー酸化以降のプロセスについて詳しく解説します。毎週日曜日の夕方更新しているので、少々お待ち下さい!

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