本記事で得られること:
- パワーポイントや報告書含め、資料作りのノウハウ
- 的確な資料を素早く作成する方法論
- 上司や顧客を説得するための視点
本記事では、「説得力のある資料の作り方」を説明します。エンジニアとして、数千万円以上の設備投資の意思決定のための資料作り・プレゼンを行ってきました。他にも、製造部門内での工程変更や顧客向けに数々のプレゼンを行いました。これまでの経験を通して、資料作成のノウハウが自分なりに貯まったため、記事としてシェアします。
本記事の結論:資料作成は「設計図」と「早期レビュー」が9割
資料の品質は、資料の設計図と設計図の早期レビューにかかっています。設計図はいわば資料の骨格であり、歪んだ骨格に美辞麗句を並べても、受け手にとって良い資料にはなりません。設計図を早めにレビューし、整えることで、良い資料を素早く作成可能になります。
なぜ資料作成が進まないのか?よくある失敗パターン
よくある資料作成の失敗パターンとして、以下が挙げられます。
- いきなり資料作成に取り掛かる
- 資料作成の本当の目的が曖昧なまま始める
- 誰のための資料なのか?不明瞭なまま作り始める
これらを避けなければいけません。それでは、具体的にどうればよいでしょうか?
資料を作るステップ
資料作成には6つのステップがあります。いわゆる「出来る人」は暗黙知的に以下で紹介する技法を使っていると思われます。そして、その技術は容易に模倣可能です。お作法に則れば、「良い資料」は再現性よく作成可能です。
STEP1:目的と「決裁者」を明確にする
資料を作る前のチェック項目:
- 資料は何を目的として作るか?
- 資料を使って、どんな意思決定をしたいか?
一番初めに行うべきは、資料を作る目的を明確にすることです。「当たり前だ!」という声が聞こえて来そうですが、案外出来ていないことが多いです。例えば、上司から「〇〇用の打ち合わせに使う資料作っておいて!」と言われた場合、その資料の目的は〇〇で使うために作るわけではありません。
何を言っているかというと、〇〇用の打ち合わせは、裏に打ち合わせに参加する誰かが意思決定するために招集されている可能性が高いためです。つまり、〇〇用の打ち合わせで、☓☓さんが意思決定するための資料を作ること、が本当の目的になります。
資料を作成するときは、資料を使って、誰が、何の意思決定をするか?を念頭に置き、その目的に沿った資料を作成しなくてはいけません。
STEP2:資料の「設計図」を手書きで描く
資料の設計図のためのチェック項目:
- 資料は何を目的として作成するか?(再度)
- 資料を使って、どんな意思決定をしたいか?(再度)
- 誰が読むか?そして意思決定をするか?
- 結論をはじめに書いたか?(重要)
- ストーリーにヌケモレや飛躍はないか?
- 読み手や聞き手に対して、情報量は適切か?
- 設計図は1日(可能なら4時間以内)で出来たか?
資料の目的を明らかにしたら、次は資料作りではありません。資料の設計図づくりをします。資料の設計図とは、パワーポイントを例に取ると、スライドタイトルと1~2行程度のスライドメッセージを書いた枠を、報告のストーリーに則って並べたものです。最初はノートや裏紙に書き殴ると良いです。イメージを下に示します。

特に重要なのは、表紙スライドの次に目的や結論をまとめたスライドを持っていくことです。理由は2つあり、
- 意思決定する人は最後まで話し聞かない(聞いていても、途中の細かいところは覚えていない)
- 目的と結論を軸に話が聞けるため、聞き手が楽
- 結論を頭に持っていくことで、以降のスライドが、結論の補足扱いにできる
意思決定をする人は、基本忙しいです。様々な方面からの情報にさらされ、疲れています。疲れているときにダラダラ話を聞かされ、最後に決断を下せと言われたら、あなたはどうするでしょうか?まともに判断できるコンディションではないから、また今度、となるかも知れません。打ち合わせの最初の方に結論を持っていけば、結論に対してYes/Noを判断する材料として打ち合わせを聞くことが出来、集中して話を聞いてもらえる可能性が高まります。
資料作成をする側としても、なぜ結論に至ったか?を説明するだけに終始出来るため、資料の軸をぶらさずに済むメリットがあります。
POINT: 設計図作成は1〜4時間以内に区切る
設計図は手早く作成出来る点がメリットなため、せいぜい1~2時間、長くても1日程度で作成を終えることをおすすめします。設計図は必ず自分が発表している、あるいは聞き手だと考えながら作ります。
STEP3:設計図の段階で「20%レビュー」を貰う
設計図の作成が終われば、レビューをもらいましょう。これは、資料について知っている上司や先輩に依頼すべきでしょう。可能なら、依頼者にみてもらうと良いです。この時点でレビューをもらいメリットは
- 客観的な視点あるいは聞き手の視点でストーリーの良し悪しがわかる
- レビューする側としても、細かい点を気にしなくて済むので楽
- 仮に一から作成することになっても数時間の遅れで済む
設計図だけでは、資料の完成度としては20%程度ですが、この段階で共有することがとても重要です。設計図はいわば資料の骨格です。骨格がしっかりしていれば、ある程度筋肉が薄かったり、贅肉がついていても伝えたい内容は伝わります。反対に、馬の骨格を組むつもりが、豚の骨格になったまま資料作成をしてしまった場合、イチから馬を作らないといけません。
設計図だけなら、レビューする側も資料の細かな部分を気にする必要もなく、仮に一から作り直す事になっても数時間の遅れで済みます。
STEP4:図表と一言だけで「下書き」を作る
設計図をレビューしてもらい、完成したら、次は下書きです。ここでようやくPC作業になります。設計図を元に、スライドや文書を並べてみます。パワーポイントの場合は、各スライドのタイトルとスライド内で伝えたいことを加え、必要な図表を載せます。
設計図から下書きに起こしてみると、意外と違和感を覚えることがあります。違和感の原因を明らかにしつつ、元の設計図から大きくハズレないよう、図表やスライドを入れ替えつつ整えましょう。
下書きの段階で、ある程度整然とした印象を持ってもらえるよう、最低限の配慮(フォントを統一、右端or左端を整えるなど)をすることを強くおすすめします。
- 自分が見ても見直しやすい
- レビューする相手も、構成以外の部分を気にせずに済む
ためです。『ノンデザイナーズ・デザインブック』という本が大変参考になったので、興味があればご一読ください。
あまりに変更が多いようなら、設計図に戻って書き直すことも検討しましょう。
STEP5:下書き段階で「構成レビュー」を貰う
下書きが完了したら、再度レビューを依頼します。特に設計図から変更点があれば、レビューはほぼ必須です。レビューでは、設計図の変更点を中心に、組み込んだ図表とスライドメッセージが合っているか教えてもらうことをおすすめします。
STEP6:作り込みと最終レビュー
下書きのレビューをもらったら、資料を作成します。パワーポイントなら、下書きに対して、説明がわかりやすくなるような色付けや補足図を加えるだけで概ね資料が出来上がるでしょう。個人的な意見ですが、補足資料は作らなくて良いです。必要ならばすでに本スライドや本文に含まれていないといけません。仮に打ち合わせの現場で要求されれば、後で渡せば良いです。必要かどうか分からないことに時間をかけるのは非常にもったいない。
資料が出来たら、またレビューです。大筋は合意できているはずなので、あとは細部を詰めてクオリティーを上げていくだけになります。
不完全でも「早く見せる」が正義
以上、高速で資料作成をするノウハウの紹介でした。今回紹介した方法ならば、おおよそ3日程度、早いと1日で必要最低限の資料を作成できます。コツは、
- 設計図を書くこと
- 設計図の時点でレビューをもらうこと
です。設計図さえしっかりしていれば、多少説明に難があっても誤解なく目的を達成できます。今回の記事をまとめたチェックリストを作成したので、良ければご活用ください。
| No. | チェック項目 | なぜ重要なのか?(得られる効果) | チェック |
| 1 | 「誰が」意思決定者か特定できているか? | キーマン以外を説得しても、最終決裁は下りないため。 | □ |
| 2 | 資料のゴールは「何の決定」か明確か? | 「報告」と「相談」が混ざると、相手は判断に迷うため。 | □ |
| 3 | PCを開く前に、手書き等で構成案を作ったか? | パワポの装飾に時間を浪費せず、論理構成に集中するため。 | □ |
| 4 | 表紙の次に「結論(サマリ)」があるか? | 忙しい決裁者は最後まで話を聞かない可能性があるため。 | □ |
| 5 | 全体のストーリーに論理の飛躍はないか? | 「なぜそうなるのか?」という疑問は、却下の最大要因になるため。 | □ |
| 6 | 完成度20%(設計図)でレビューを依頼したか? | 手戻りを最小限にし、作成時間を大幅に短縮するため。 | □ |
| 7 | 指摘事項に対して修正方針は合意できたか? | レビュアーの意図とズレたまま作業を進めるのを防ぐため。 | □ |
| 8 | 1スライド・1メッセージになっているか? | 情報過多なスライドは、読み手の思考を停止させるため。 | □ |
| 9 | 図表のタイトルだけで言いたいことが分かるか? | グラフの数値を読み込ませる負担を相手にかけないため。 | □ |
今回の記事は、パワーポイントでの資料作成を中心に解説しました。以前の記事で、論理的に説明をするためのノウハウについても紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。



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