本記事の概要
本記事では、先端半導体の技術として注目されている、HBMについて、わかりやすく解説します。直近のSK hynixの躍進とSamsungの劣勢の原因の一つでもある、AIコンピューティングの重要技術です。
想定読者
- 半導体技術に興味のある方
- SamsungのDRAM市場の苦戦の原因やSK hynixの躍進の理由を知りたい方
HBMの基本構造:積層+TSV+Siインターポーザー
HBMとは、「High Bandwidth Memory」の略であり、メモリー半導体の技術です。複数のメモリを高さ方向に積層する、「メモリーのミルフィーユ構造」で成立しています。積層するために、「TSV(貫通シリコン電極)」を使って、直接メモリ同士を接続します。
また、積層したメモリは、「コントローラーダイ(コモンダイ)」と言われる制御チップ状に接続されたあと、「Siインターポーザー」という基板に実装され、ロジック半導体とはSiインターポーザーを介して接続されます。以上の構造を取る利点は、
- 面積あたりの容量を増やせる
- TSVによる接続距離の短縮で高速化
- Siインターポーザーを使うことで、配線を短距離にし高速化
つまり、「大容量」「高速化」を両立出来る構造になっています。

HBM: Materials Innovation Propels High-Bandwidth Memory Into the AI Era
【徹底解説】最先端の次世代半導体パッケージ、材料および基板の技術動向
HBMがAIに不可欠な理由:容量×速度の同時実現
AIコンピューティングの重要性が増していく中、メモリとなるDRAMの高容量化と高速処理が求められています。そのため、速度と容量を同時に実現出来る、HBMが市場に強く求められています。
SK hynixの最新のHBMでは、DRAMの積層は12層、速度は9.6 Gbpsになります。競合のSamusungも積層では劣りませんが、速度は9.2 Gbps。おそらくこの速度の差が、HBMのシェアに現れた結果、2025年はSK hynixが市場の6割を占める予想です。DRAMの市場全体でも、SamsungはSK hynixに逆転され、それぞれ34%と36%のシェアとなっています。

コメント