製造業は必ずモノづくりの現場を持っています。大きな企業になると、製造現場と研究開発、企画や営業などの機能が完全に分離され、異なる文化で運営されていることもあります。今回の記事では、研究開発から突然製造現場のマネジメントを任された新卒5年目が、現場の主導権を速やかに握った経験を基に、完全主観で現場とのコミュニケーションのコツを解説します。
製造現場で主導権を握るコツ!初心者向けに完全主観で解説
私は現場を任されてから、2年弱が経過しました。元々研究開発をやっており、その当時は部下や後輩もおらず、もちろんマネジメント経験もありません。ある日突然、当時の部長から、「〇〇って部署がリーダー候補を求めているらしいけど、興味ある?」と伝えられ、全くの異文化でしたが、出世が早くなるならということで異動を決意しました。その当時は、異動先の部署もマネージャーや主任がいて、私はエンジニアとして配属されました。
しかし、配属から4ヶ月経過したところで、突然マネージャーと主任が異動することになりました。後任の配属はなかったことから、玉突きで事実上の現場責任者になりました。配属4ヶ月で技術的にも未熟、しかし現場を主導する立場という難しい状況でした。そのような状況で私は速やかに現場の主導権を握り、更に2ヶ月後には製品の最高収率も達成できました。
では、私はどのようにして速やかに現場の主導権を握ったのか?振り返ると、以下の3つのコツによると考えられます。
- 現場というコミュニティーの理解
- 現場との適切なコミュニケーション
- とにかく結果を早く出す
以下では、以上3つのコツについて完全な主観で詳述します。

現場で主導権を握るコツ
現場というコミュニティーを理解する
製造現場を攻略する第一歩は、「現場のコミュニティーを理解する」ことにあります。コミュニティーを理解するには、以下の3つのステップがあります。
- 組織上の司令系統を理解する
- 「実際の」司令系統を理解する
それぞれに付いて以下で説明します。
組織上の司令系統を理解する
これは単純に、組織の名目上の構造を理解することです。誰がトップで、現場の責任者が誰で、現場のスタッフは何人いて、どんな仕事を任されていて、という仕組みをまずは理解します。組織上の司令系統を知ることで、レポートラインが明らかになり、問題が起こったときの報連相や、改善提案を誰に上げるべきかわかります。
「実際の」司令系統を理解する
組織の名目上の構造を理解したら、今度は現場に出て、「実際の」命令系統を理解します。往々にしてあることだと思いますが、名目上の組織構造と、現場の司令系統が異なる場合があります。現場に出ることで、誰が現場を切り盛りしているのか、装置や仕組みに詳しいのか知ることができます。要は、現場のキーマンを把握することが重要という意味です。
現場との適切なコミュニケーション
組織と現場のキーマンを理解できたら、次は現場と「仲良く」なるコミュニケーションの出番です。「仲良く」とは、馴れ合いではなく、目的を共有し、実行する仲間になってもらうことを指します。私が考える、現場と仲良くなるためのコツを以下で示します。
現場に配属されたときにやってはいけないこと
仲良くなるには、やってはいけないことをやらないことが絶対的に必要です。やってはいけないことの代表的なものは以下です。
- 現場の悪口、見下した発言
- 理不尽な仕事の押し付け
- 一方的な仕事の割り振り
- 指示出しの際の不要な遠慮
上3つは現場に限らずタブーです。仲間になる人たちに対して、敬意を表すためにも絶対にやってはいけません。また、指示を出すときは断固とした態度で伝える必要があります。自信のない態度は相手を不安にさせ、ひどい場合は舐められます。
現場に配属されたときにやるべきこと
やってはいけないことをやらないだけではなく、やったほうが良いことももちろんあります。これやってよかったな、と思う項目として、以下が挙げられます。
- 嫌がる仕事を率先してやる
- 現場の意見を聞く時間を定期的に取る、最後まで聞く
- たまに趣味の話もする
嫌がる仕事、例えば、部署全体が参加する、非定常の肉体労働を率先してやるのは現場の信用を得るうえで非常に有効です。いざとなればしっかり対応してくれるという印象を得られます。また、現場の話を聞くことも重要です。意見が採用されなかったとしても、意見を伝え、検討する機会があるとわかっていれば、改善に対して現場が積極的になります。途中で話を切り上げず、最後まで話しを聞くことがミソです。私は1回/日ほぼ必ず現場に顔を出して、話をするようにしていました。
仕事の話だけでなく、趣味やプライベートの話をたまにするのも良いです。指示する側とされる側という関係性は変わりませんが、機械的な関係生だけでは上手く機能しないことが多いです。人間的な接点を持つことでコミュニケーションの質が上がります。

早く「結果」を出す
現場で主導権を握る最後のコツは、早く「結果」を出すことです。「結果」は必ずしも成果ではありません。「結果」とは、「物事に対して適切に判断し、処置を決断、指示、実行すること」です。先に挙げた、断固した指示とも重なりますが、正しい対応を確実に実行できる人間を現場は信頼します。早く結果を出せば、現場の信頼と主導権を握ることができます。私の場合、早いタイミングで設備トラブルがあり、その時の早い対応が評価されたと感じています。
まとめ
以上、現場で主導権を握るコツについて語りました。
- 名目上の組織と実際の司令系統を理解すること
- 理不尽を避け、現場の声に耳を傾けつつ明確な指示を出すこと
- トラブルでも成果でも良いから、早めに適切な判断と処置を実行すること
大まかに以上のことが実践できれば、現場と良い関係を築くことができます。製造現場を率いる立場になって不安を抱える方の参考になれば嬉しいです!他にこんなこともあるよ!というものがあればコメントなどで共有してもらえたら助かります!
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