本記事の概要
本記事は、生産管理の仕事とその価値について解説します。筆者は化学メーカーで製造のエンジニアとして働きながら、前工程の生産管理職としても機能している現役の社員です。2年半の間、生産管理の機能も担う中で、生産管理は工場全体の仕組みを調整・制御し、収益を左右する重要な役割であることを理解しました。今回は実際に働いた経験を元に、現時点の私の理解を解説をします。
想定読者
- 製造業における生産管理の仕事に興味のある方
- 生産管理の役割と実際の仕事を知りたい方
生産管理の定義:工場のリソースを最適化し、持続的な収益を生む仕事
「生産管理」を説明する言葉は多くありますが、私は、「顧客納期や製品構成の要望を元に、工場のヒト・モノ・カネを適切に差配し、収益を持続的に生むための最適な資源管理をする仕事」と定義しています。基本的な機能としては、生産管理は営業から来る顧客要望と製造現場のヒトとモノの調整役を担います。顧客が1社あるいは製品が1品種ならば、営業と製造がいれば事足りますが、実際は複数の顧客に対し、複数の製品を作る必要があります。結果として、調整役としての生産管理が必要になります。そして、生産管理は単なる調整役以上の役割を求めらているのが実際です。
※筆者の所属する組織は製造組織内に生産管理を担う役職が在籍しています。

生産管理が生み出す2つの経済的価値:在庫と工数のコントロール

生産管理が単なる調整役以上の役割を期待されているのは、生産管理の仕事が以下のような価値(あるいは不利益)を与える立場にあるためです。
- 材料と製品の在庫をコントロール(マテリアルバランスの管理)することによる、キャッシュフローと収益の最適化
- 工程ごとの負荷の把握による、労務工数の極小化
これが先程述べていた、「ヒト・モノ・カネを適切に差配し、収益を生む」ことです。
生産管理の失敗が招くリスク(黒字倒産や職場環境の悪化)
逆説的に、生産管理が上手く機能していない場合は以下のような事態が生じ、工場経営が頓挫します。
- 材料がだぶつき、キャッシュフローが悪化する。最悪の場合黒字倒産
- 製品がだぶつき、キャッシュフローが悪化する。不良在庫の減損による収益の悪化
- 工程負荷が職場によって大きく上下し、無理によるトラブルや離職
- 材料や製品在庫不足による納期遅延や売上減少
- 製造現場が実務を隠そうとするようになる。作れるはずのものを作れなくなる
など、生産管理の巧拙によって、工場の収益や職場環境が大きく左右されます。実際、私はこれまで材料と製品在庫のだぶつきによりCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)が3桁だったものを、在庫管理の適性化で2桁まで低減することが出来ました。一方で、副作用として在庫管理の微調整が増えてしまったため、管理に工数がかかるようになってしまいました。これは現在仕組み化で対策中です。
本来的には製造現場をよく知っている人が生産管理の職務を担うべきですが、例えば弊社は新入社員が生産管理職に配置されることが多く、現場と衝突することも多いです。
現場で成果を出すための実務5箇条:信頼と数字の重要性
生産管理の巧拙によって工場の収益や職場環境が大きく左右されることを述べてきましたが、実務を担う人はどういったことを気にすれば良いのでしょうか?実務を担ってきた経験上、5つ重要なことがあると考えます。
- 製造あるいは営業の仕事に精通していること
- 生産現場に毎日顔を出すこと
- 人の話をよく聞くこと
- 数字に強いこと。可能なら仕組み化ができること
- まとめた数字に根拠を持たせて主張できること
1は新卒の場合難しいと思うので、2以下を重視して動くと実践的です。軽視しがちですが、生産現場に顔を出すことはとても重要です。生産管理の仕事は頻繁に、生産現場に無理を通すことになります。このとき、顔も知らないし現場も分かっていない人の言う事を、素直に聞くことはありません。一方、2と3を実践して、現場で人と話すだけで状況は大きく改善します。製造現場に精通することにもつながり、現場に言って雑談することが、一石二鳥の仕事になります。
最後に、生産管理は数字を扱い、仕組みを作っていく仕事でもあります。数字と作った仕組みの根拠は常に考える必要があります。このときに考えた根拠を元に主張することが、営業や生産現場を納得させる強いリーダーシップにつながります。
まとめ:生産管理は工場の中核を担う、やりがいの大きい職種
以上、生産管理の仕事の紹介でした。生産管理はヒト・モノ・カネを適切に管理し、時には強いリーダーシップを発揮することで工場の収益を牽引する仕事です。生産管理の失敗は、工場の収益の悪化に直結します。ただの調整役以上の役割を担う、工場の中核を担う職種のため、工場全体の仕組みを作り、時にはリーダーシップを発揮する必要もあります。
営業と製造との板挟みになりがちな仕事でもあるため、ストレスを抱えることも多くある分、やりがいも感じられる仕事です。

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