半導体前工程のCMP(Chemical Mechanical Planarization)とは?原理・用途・AMATの強さの理由を徹底解説

半導体

本記事の概要

本記事では、半導体前工程におけるCMPの詳細について解説します。CMPの用途やその原理、なぜAMATがCMP装置で圧倒的なシェアを誇るのか、その理由を詳しく解説します。

想定読者

  • 半導体前工程に興味のある方
  • CMPについて知りたい方
  • CMPの歴史を知りたい方

CMPの用途

前工程におけるCMPは、配線用のメタルの蒸着や、酸化膜の形成によって凹凸のできてしまったウェハー表面を平坦化するために行われます。

エッチング後の基板は表面に段差が無数にできている状態になり、メタルや酸化膜の蒸着を行うと、表面は当然凹凸だらけになります。表面が凹凸だらけの状態で、更に配線パターンを追加するための露光を行うと、焦点が合わず、不良が発生します。そのため、表面を平坦にするCMPを行うのです。

また、CMPを行うことで、不良の原因となる表面の欠陥を除去できるメリットもあります。

CMPを行うことで、酸化膜蒸着後の凹凸の多い表面を均一に加工することができる。

参考:

CMPの原理

CMPは”化学・機械的平坦化”の名の通り、化学反応と機械的な加工とを同時に行います。CMPはスラリーと呼ばれる、砥粒を含んだ薬液を使って行います。CMPスラリーは、反応を起こすための薬液とシリカやセリアなどの研磨砥粒、そして添加剤と分散剤で構成されています。

薬液によって、選択的に化学反応を起こして研磨を容易にし、砥粒によって研磨します。添加剤は、薬液によって研磨が容易になった部分と、そうでない部分とで全体を均一に研磨するためのいわばブレーキの役割を果たします。

添加剤がないと、薬液によって素材による研磨レートの差が生じ、表面に凸凹が生じる

参考文献:

AMATがCMP装置装置で大きなシェアを誇る理由

荏原製作所のCMP装置は、現在世界第二位のシェアを誇ります。業界第一位はAMAT(Applied Materials)になります。AMATが大きなシェアを維持できている理由は、前工程の複数プロセスを自社保有しているからです。

半導体前工程は工程を繰り返すことで微細化をしているため、前後プロセスのつながりが非常に強いです。複数の工程を自社で保有することで、すり合わせによりシナジーが起きます。逆に、前後のプロセスの情報が入ってきづらい専業メーカーは技術開発で不利となります。

例外はASMLで、専業にも関わらず露光装置で圧倒的なシェアを誇ります。以前の記事で、ASMLが圧倒的なシェアを誇るようになった理由を書いているので、ぜひお読みください。

https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230606003/20230606003-1.pdfより引用

参考文献

まとめ: CMPは日本勢が健闘している数少ない分野

CMPは装置だけでなく、スラリーでも日本勢が健闘しています。スラリーのシェアはDupontが一位ですが、Resonacやフジミ、富士フィルムがそれに続きます。CMPは寡占がほぼ終わったと見られていますが、スラリーメーカーは今後も合併や買収が続くとみられます。

次回の記事

次回の記事では、プロセスではなく半導体の種類について解説していこうと思っています。ご期待ください。

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