製造業のQCDとは?管理職が語る真の優先順位と「安全(S)」の最重要性

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本記事の概要

本記事では、製造現場で頻繁に使われる、「QCD」という言葉について解説します。気づけば製造エンジニア兼管理職として3年働き、工場の予算と実績の管理まで手掛けるようになった筆者が、QCDの本質について経験を元に書いていきます。

想定読者

  • 製造業に興味のある方
  • 製造現場で大事にされている考え方について知りたい方

QCDとは?品質・コスト・デリバリーの定義

「QCD」とは、

  • Q(Quality):品質
  • C(Cost):コスト(費用・原価)
  • D(Delivery):納期・供給能力

の頭文字を取った単語です。製造現場において優先される、3つの指標を端的に表した言葉と言えます。製造の仕事をしていると、QCDは重要だ!と耳にタコが出来るくらい聞かされることになります。実際は3つを同時に成立させるのは至難の業で、例えば「品質上げるために管理を厳格にすると歩留まりが下がり、コストが上がる」ということもよくあります。

QCD全てを満足させるために日々改善に勤めるのが、製造の仕事でもあります。

QCDに優先順位はあるのか?「D→Q→C」のチェック

意外と盲点というか、私が働いていて聞いた記憶にないのが、「QCDって3つあるけど、Q・C・D、優先順位つけるならどうなの?」という疑問とその回答です。「全部だ!」というのが回答なのかも知れませんし、会社や事業によってQ・C・Dを司る部署の相対的な力関係によるところもあります。私が所属する事業だと、品質保証部門の声が大きいため、Qualityについては管理が厳し目と言えそうです。

ただ、「QCD全部大事だ!」と言ったり、「声が大きいあるいは権限が強い部署に流される」ことは、好ましいとは言えません。3つの指標にそれぞれ原則的な優先度があると言えます。では、QCDの原則的な優先度とは?

これは、「一にデリバリー、次に品質、最後にコスト」です。勘違いを生みそうですが、ここで言う「優先度」とは、「チェックの順番」と読み替えて頂きたいです。

1. デリバリー(納期・供給能力):最優先される顧客との約束

まずはデリバリー、供給を納期どおりに実行できるかがカギです。商取引において、約束した期日と量を顧客に届けることは、最も優先されます。これを供給責任といいます。顧客との約束を守ることが最優先です。

2. 品質(Quality):信用を担保する基準

供給が可能なら、次は品質です。これも顧客の目線の話です。納期と量を守っても、品質が伴っていなければ、これも信用を損なう結果になります。品質も、顧客との約束ごとで決まっているからです。

3. コスト(費用):自助努力と適正価格の境界線

そして最後にコストです。納期と量、そして品質が顧客の要望に適っても、赤字になるようなら商売になりません。コストカットは工場のムダ(作業や不良製品、原料使い)を取り除くことで実現していきます。コストを顧客に転嫁する値上げという手段もありますが、日本の製造業全体の傾向として、なるべく自助努力でコストは賄うべきと考えられてきました。「顧客にコストを払わせることは、付加価値を薄める」という思想が根本にあるためと推察します。最近は便乗値上げという言葉が生まれるくらいであるため、その思想も弱まっていると言えます。

以上、QCDは、D、Q、Cの順番でチェックしていき、全て成立するときに商売になります。全て満足しているのに、商売にならない時はそもそも値付けが間違っているため、価格交渉あるいは撤退を選択することになります。

QCDも大事だけど、「安全」は全てに優先する。

製造業において、QCDは重要です。そして、D、Q、Cの優先度でチェックされることを解説しました。ですが、製造業ではQCD以上に重要なことがあります。それは「安全」です。働く我々が、日々安全に作業し、ケガや命を落とすことが無いことが最も重要です。商売上はQCDばかり追ってしまいますが、「それをやっても、安全を担保しているか?」という視点は忘れてはいけません。

例えば顕著なのはコストや納期を優先して、作業的に無茶なスケジュールを組むことは起こりがちです。実際、私も休日出勤と残業前提のスケジュールを組んでしまうことがあります。

その結果、作業者の疲労がたまり、普段なら気づけたり、割けることの出来る危険の兆候に気づかず、結果的に労働災害につながる懸念もあります。また、急がされて、仕事を間に合わすために空チェックをしてしまい、事故につながる可能性もあります。

「安全を確保し、事故や災害を防ぐ」は当たり前過ぎて忘れられがちですが、管理職は常に現場の様子を見て、本当に安全とQCDが両立出来ているか?を見極めないといけません。

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